SCRIPT
(Ross sits back down defeated again. A moment of silence follows as Rachel sits and the others expect her to explain.)
(ロスは落ち込んでまた座り直す。レイチェルが座り、(レイチェルがなぜウェディングドレス姿でここにいるのかの)説明を他のみんなが待つ間わずかな沈黙となる)
Monica: So you wanna tell us now, or are we waiting for four wet bridesmaids?
モニカ: それで今話す?それとも4人の濡れたブライズメイドを待つ感じ?
Rachel: Oh God… well, it started about a half hour before the wedding.
レイチェル: あぁそうね(話さないとね)..えっとね、あれは式のだいたい30分前だった。
Rachel: I was in this room where we were keeping all the presents, and I was looking at this gravy boat. This really gorgeous Limoges gravy boat.
レイチェル: 私はプレゼントが置かれた部屋にいて、グレイビーボート(食器)を見てたの。すごく素敵なリモージュ(フランスの都市の1つ)製のグレイビーボートを。
Rachel: When all of a sudden– (to the waitress that brought her coffee)Sweet’n Low?- I realized that I was more turned on by this gravy boat than by Barry!
レイチェル: で突然-(コーヒーを持ってきたウェイトレスさんに向けて) スイートンローは?-気づいたの、ベリーよりもこのグレイビーボートの方に魅力を感じてることに。
Rachel: And then I got really freaked out, and that’s when it hit me how much Barry looks like Mr. Potato Head.
レイチェル: それですごく恐ろしくなっちゃって、しかも、その時わかったの、ベリーがミスターポテトヘッド(アメリアかのおもちゃで、トイストーリーにも出てくるキャラクター)にどれくらい似てるか。
Rachel: Y’know, I mean, I always knew he looked familiar, but… Anyway, I just had to get out of there, and I started wondering ‘Why am I doing this, and who am I doing this for?’.
レイチェル: ほら、つまりいつも誰かに似てるなと思ってたんだけど….まあとにかく、とりあえずそこ(式場)を抜け出さなきゃで、それと同時に「なんでこれをしてるのか」とか「誰のためにこれをしてるのか」とかを考え始めて。
Rachel: (to Monica) So anyway I just didn’t know where to go, and I know that you and I have kinda drifted apart, but you’re the only person I knew who lived here in the city.
レイチェル: (モニカに対して)で、とにかくどこに行くべきかもわからなくて、それにあなたと私は疎遠になってたけど、モニカが私の知ってる人で唯一ここ(マンハッタン)に住んでる人だったから。
Monica: Who wasn’t invited to the wedding.
モニカ: 結婚式に招待されてない人ね。
Rachel: Ooh, I was kinda hoping that wouldn’t be an issue…
レイチェル: あぁ、そのことは問題になってほしくなかった….
VOCABULARY&PHARASES
・defeated / dɪfɪ́ːtɪd
sad and unable to deal with problems [LONGMAN英英辞典]
defeated (adj): 悲しく、問題に向き合うことができない(=うちひしがれた)
今回の”defeated”はロスがレイチェルと挨拶するために立った後、再び座る際のロスの様子を説明しています。
この部分の文法的考え方についてはFriends Season1 Episode1-1 GRAMMARセクション(修飾について)で共有させていただいたものと同じです。よろしければ併せてご確認ください!
・follow / fɑːlou
to happen or do something after something else [LONGMAN英英辞典]
follow (v): 何かの後に起こる、またはする
“follow”は”follow me”「ついてきて」という意味が代表的かと思いますが、「〜につづく」という今回の意味もよく使われます。
注意点としては「あとに続くもの」が主語になるという点です。
ex) Spring follows winter 「春は冬のあとにやってくる」
・expect / ɪkspékt
to think that something will happen because it seems likely or has been planned [LONGMAN英英辞典]
expect (v): 起こりそうであったり、予定されているという理由で何かが起こると思う
“expect”は「誰々が〇〇してくれるだろうと思う」とか「〜になると思う」などそれなりの確信を持って何かを「予期」する場合に用い、日常会話でよく使われます。
ex) I don’t expect you to understand. 「わかってもらえるとは思ってないけど」
ex) The play was better than I expected. 「そのお芝居は思ってたより面白かった」
・bridesmaid / bráɪdzmeɪd
a girl or woman who helps the bride on the day of her wedding [LONGMAN英英辞典]
bridesmaid (n): 結婚式で花嫁の手伝い(付き添い)をする女の子または女性
“bridesmaid”は英語圏の結婚式で客席に座るのではなく祭壇の横に並んで花嫁の付き添いをする女性を意味します。
Scriptでは「4人のブライズメイド」となっていましたが、基本的に人数は決まっておらず、人によって3人だったり6人だったりとするようです。
なぜモニカが「4人のブライズメイド」と言ったのかは様々な議論がされているようですが、私が英語で調べてみたところ、英語圏の人たちは特にこの数に意味はないと解釈しているようです。
結婚式はその国の文化が大きく反映されているため国によって大きく異なると思います。
英語圏の結婚式も日本にいるとなかなか知ることのできない仕来りがけっこうありますが、このFriendsではそういった結婚式の内容もたくさん出てきますし、Friends以外で言うと、ジュリアロバーツ主演の映画『ベストフレンズウェディング』などでもその様子を垣間見れます!
今回はせっかくの機会なので結婚に関する英単語と発音もいくつか共有させて頂きます。よろしければ併せてご利用ください!
・bride / bráɪd
a woman who is getting married or has just got married [LONGMAN英英辞典]
bride (n): これから結婚する女性、または結婚したばかりの女性(=花嫁)
※似た単語で”bribe“というのがありますが、この単語は「賄賂」という意味なので注意です。
・groom / ɡrúːm
a man who is getting married or has just got married [LONGMAN英英辞典]
groom (n): これから結婚する男性、または結婚したばかりの男性
※似た単語に”broom“というのがありますが、これは「(床を掃除する)ほうき」の意味です。
・minister / mɪ́nəstər
a priest in some Christian churches [LONGMAN英英辞典]
minister (n): 牧師
“priest”は「聖職者」という意味です。
・altar / ɑ́ːltər
the area furthest from the entrance of a church, where the priest or minister stands [LONGMAN英英辞典]
altar (n): 教会の入り口から一番遠い場所で、聖職者や牧師が立つところ(=祭壇)
・gravy boat
a long jug that you pour gravy from [LONGMAN英英辞典]
gravy boat (n): グレイビーソースを入れる横長で注ぎ口のついた器
グレイビーボートはよくカレーの入っているイメージがあるランプのような器のことです。
“jug”は(飲み物などを入れる)ピッチャーの意味で、”pour”は「〜を注ぐ」 “gravy”は「グレイビーソース」の意味です。
・gorgeous / ɡɔ́ːrdʒəs
very pleasant or enjoyable [LONGMAN英英辞典]
gorgeous (adj): とても良い気持ちにさせる、幸せな気持ちにさせる(=豪華な)
“gorgeous”は日本語でも馴染みがあり、「豪華な」という意味として捉えられている方が多いかと思いますが、英語の感覚としてもほとんど日本語の意味と同じニュアンスで考えて良いと思います。
ただ英語における”gorgeous”は人に対して使われることも多く、その場合は「とても美しい、魅力的な」という意味になります。
この意味の”gorgeous”は口語的で、主に女性が使う表現のようです。
・Limoges / lɪ́məʊʒ
a city in west central France, where fine cups, plates etc are made [LONGMAN英英辞典]
Limoges : リモージュ(フランス中西部の町、陶器づくりが有名)
“when all of a sudden”は”all of a sudden” を強調した表現です。
そのため今回のところを単純に”all of a sudden”と述べても問題ありません。
☞“all of a sudden”の意味はこちらから確認いただけます。
Sweet’n low : [固有名詞] スイートンローという人工甘味料のブランド
“realize”は自分の意識が「気づいていなかった状態」から「気づいた状態」へ変化したことを述べる時に使う動詞だと過去記事[Friends Season1 Episode1-2]にて共有させて頂きました。
今回の場合も考え方は同じで、レイチェルが「ベリーよりもフランス製のグレイビーボートの方が魅力的に思うと感じ、ということは私はベリーを愛してないんだ」と気づいた(「気づいていなかった状態」から「気づいた状態」へ変化した)ため”realize”と言っているわけです。
“realize”の詳しい説明はこちらのリンクから飛んで頂けますので、よろしければ併せてご確認ください!
☞Friends Season1 Episode1-2 “realize”の部分
・turn on
to cause someone to feel excited and very interested [Cambridege Dictionary]
turn on (v): 誰かをドキドキさせたり、興味を持たせたりする
“turn on”は「誰かを性的に興奮させる」という意味もあり、このFriendsでもその意味でよく使われる場面が (これから 笑)ありますが、今回のように単純に人を「ドキドキさせたり」、「興味を持たせる」という意味もあります。
ex) The book didn’t really turn me on. 「その本はあんまり面白くなかった」
ちなみに上記した意味説明(英語)の”cause”は”cause someone to do something”の形で「〜にさせる」などの意味になり、”make someone do something”と同じ意味です。
両者の違いとしては”cause someone to do something”の方が「フォーマルな表現」で、通常の会話などほとんどの場合は”make someone do something”と言うのが普通のようです。
・freak out
[spoken] to become very emotional, or make someone very emotional
freak out (v) [口語]: とても感情的になる、または人をとても感情的にさせる
“freak out”は”良い意味”、”悪い意味”両方において大きく感情が動く場合に使います。
そのためその意味の解釈は文脈により異なり、「これ」と一言で表すのは難しいです。
ただ、私の経験として”freak out”は「気が狂いそうになるほどイラつく」や「飛び上がるほど喜ぶ」などの場合に使われることが多いので、日本語で考えると「おかしくなる」という言葉がこのフレーズのニュアンスには近いのではないかなと思います。
“out”は「中から外に出る」=「場所が変わる」というとこから「物事の様子がガラッと変化する」というニュアンスがあります。
この”freak out”の”out”はまさにこのニュアンスで、穏やかな感情がガラッと変化するところから→「感情に大きく変化が起きる」→「とても感情的になる」という意味になり、良い意味、悪い意味両方においてかなり大きい感情の変化を表すのです。
こういった”out”などの副詞・前置詞の持つ細かなニュアンスはマークピータセン氏・著『日本人の英語』岩波新書 にて詳しく述べられています。この本では前置詞・副詞の意味、使い分けが例文と共にわかりやすく述べられているので、それらをより柔軟に使い、考えられるようになると思います。
ex) Horror movies always freak me out. 「ホラー映画を観るといつも気が狂いそうになる」
ex) We all freaked out when he got the job. 「彼がその仕事をゲットしたとき、私たちはみんな大喜びした」
“freak out”はそのニュアンスをつかむのが難しいですが、このFriendsはもちろん、日常的によく使われ、耳にするフレーズなので、今後もこのフレーズが使われている部分は積極的に取り上げていきます。
何かを理解し、慣れるためにはやはりたくさんの使われ方、例文に触れることが大切だと思いますので、ぜひお役立ていただければと思います。
・hit / hɪ́t
if something hits you, you suddenly notice it or realize it [LONGMAN英英辞典]
hit (v): 何かがあなたを”hit”したとき、あなたはそのことを急に認識する、またはそのことに急に気づく
この”hit”は事実や考えが「人の意識、または認識を”hit”する(=人の意識、または認識にぶつかる)」というところから、「わからなかったこと、気づいてなかったことに急に気づく」という意味になります。
注意すべき点は、”hit”の主語になるのは「気づいた考えや事実」になるということです。
今回の場合で言えば「ベリーがどれだけミスターポテトヘッドに似ているかがレイチェルを”hit”した」という意味であり、本来は
“How much Barry looks like Mr. Potato Head hits me”
となります。
しかし主語が長くなるのを嫌う英語の特徴から「”It”を仮の主語として本来の主語を文の後ろに持ってくる」という英語のルールが適用され今回のように
“It hits me how much Barry looks like Mr. Potato Head.“
という文章になっているわけです。
この文章では同じ「〜に気づく」という意味を表す”realize”を使うこともできると思いますが、”realize”が「自ら気づいた」というニュアンスを含むのに対し、”hit”は自らの意識ではなく、「何らかの外的要因で急に気づいた」というある意味「受動的ニュアンス」があるため、今回の場合は文脈的にも”hit”がピッタリだと思います。
Mr. Potato Head: (固有名詞)ミスターポテトヘッド
ミスターポテトヘッドはトイストーリーにも出てくるおもちゃです。
Netflixの字幕ではこの部分「彼がイモに見えたの」となっていましたが、字幕は誰にでもわかるようにしないといけない点からこう訳したのだと思います。
このあと出てくるベリーは実際、絶妙にミスターポテトヘッドに似てる(と私は思います 笑)ので、そのまま「ミスターポテトヘッドに似てる」と訳した方が面白いなと思いますが、上記した理由からその点が翻訳では難しい作業だなーと感じました。
・familiar / fəmɪ́ljər
well-known to you and easy to recognize [LONGMAN英英辞典]
familiar (adj): よく知っている、(特徴など)簡単に気づける
“familiar”はよく知ってるものや人物を意味する形容詞です。
ex) a familiar face 「見慣れた顔」
今回の場合は”look familiar”なので直訳すると「よく知っていると見える」=「見覚えのある」という意味になっています。
この形の表現は日常会話でもよく耳にし、”her voice sounded familiar”「彼女の声は聞き覚えのある声だった」などともよく言います。
・wonder / wʌ́ndər
to think about something that you are not sure about and try to guess what is true, what will happen etc [LONGMAN英英辞典]
wonder (v): 自分が不確かなことについて考え、それが真実かどうか、または何が起きそうかなどを知ろうとする(=あれこれ考える)
“wonder”は「あれこれ考える、考えをめぐらす」という意味で、日常的にとてもよく使われる動詞です。
ex) I wonder if it’s okay to call him at this time of night.
こんな時間に電話して大丈夫かな(直訳は「こんな時間に電話して良いかと考える」)
今回はレイチェルが自身の結婚について「あれこれ考え始めた」という意味で
“I started wondering ‘Why am I doing this, and who am I doing this for?“
「なんでこれをしてるのか」とか「誰のためにこれをしてるのか」とかを考え始めて
となっているわけです。
また”wonder”は「いろいろ考える」という意味から”I was wondering if~”のように人に何かお願いをするときにもよく使われます。
ex) I was wondering if you could help me
力をお貸しいただけたらと思っているのですが
※似た表現で”wander”という単語もありますが、こちらは「歩き回る」という意味なので注意が必要です。
↓
・wander / wɑ́ːndər
to walk slowly across or around an area, usually without a clear direction or purpose [LONGMAN英英辞典]
wonder (v): ある場所を目的やはっきりとした方向を決めず歩き回る、ぶらつく
ex) I wandered in the hall, waiting for the result.
僕は結果を待つ間、廊下を歩きまわっていた
・drift apart / drɪ́ft əpɑ́ːrt
if people drift apart, their relationship gradually ends [LONGMAN英英辞典]
drift apart (v): 友情などの関係がだんだんと終わる(=疎遠になる)
ex) My college friends and I have drifted apart.
大学の友達とは疎遠になった
このFriendsではレイチェルとモニカは高校の同級生という設定です。
今回のシーンではその2人が久々に再会したわけですね。
・issue / ɪ́ʃuː
a subject or problem that people discuss [LONGMAN英英辞典]
issue (n): 人が議論する話題や問題
“issue”の意味は日本語の辞書では「問題」とされていることが多いと思います。
しかし、同じ「問題」の意味では”problem”という単語の方が我々日本人には馴染み深く、その違いに混乱することも多いのではないかと思いますので、今回はその違いを含めて”issue”の意味を共有させていただきたいと思います。
“issue”と”problem”の違いを考える上でポイントとなる点はこちらです
“issue”= 話しあったり、議論する問題
“problem”= 答えや解決が求められる問題(=困ること)
“issue”という単語は、例えば、新婚の夫婦で奥さんは犬を飼いたいんだけど、旦那さんは猫を飼いたいと思っており、毎晩そのことについて喧嘩気味になってるような状況を述べる際に”We have an issue”と言います。
これは2人の間に意見の相違があること、言い換えれば「話し合いの問題」であるため”issue”を使うのが適切なのです。
一方例えば、同じように新婚さんで、奥さんが前から犬を飼ってて、旦那さんもその犬を可愛がっていたんだけれど、新居を探す際、なかなかペット可の物件が見つからないといった場合”We have a problem”と言います。
この場合は「ペット可の物件が見つからない」という事実に対し困っており「何かしらの解決策」を見つけないとならないため、「話し合いの問題」を意味する”issue”はふさわしくなく、「答えや解決が求められる問題(=困ること)」を意味する”problem”と言うのが適切というわけです。
今回のレイチェルの場合も、モニカが結婚式に招待されてないことが話題になる→言い換えればそのことが「話し合わないといけない問題」になる(今回の文脈では「なってほしくなかった」という意味)という「話し合いの問題」を意味する文脈なので”issue”と言ってるわけなのです。
GRAMMAR
今回のこのセクションでは3つのことを共有させていただこうと思います。
①”the others”/”the other”/ “others”/”another”の考え方について
②”all the presents“の”the”について
③”I was looking at this gravy boat“の”this”について
①”the others”/”the other”/ “others”/”another”の考え方について
“the others”/”the other”/ “others”/”another”の説明を共有させていただく前に、これらの考え方の基本となる部分をお伝えし、そのことを頭においていただいた上で記事を読んでいただければと思います。
“the others”/”the other”/ “others”/”another”の考え方の基本となる点は
「すべて何か1つの基準からみて”他の”という意味になる」
ということです。
今回はその1つの基準を「黄色の丸」にしてありますので、それを基準にそれぞれの考え方を理解していただければと思います。
・”another”について
“another”は「数ある中のどれでも適当な他の1つ」という意味です。
例えば、この図の黄色い丸を今自分が持っている丸(上記した「基準」)だとして”another circle”(もう1つの丸)と言った場合、”another”は残りの4つのうちの「適当な1つ」(今回はわかりやすいように1つを水色にしました)を意味するというわけです。
もっと具体的な例で言えば、たとえばこの例と同じ全部で5つのドーナツが入った箱があったとし、1つは自分が取って、その後おかわりにもう1つ別のドーナツが食べたい場合”I want another one”または”I want another doughnut”と言うわけです。
お酒などを飲んでいて”Would you like another one?”(もう一杯いかがですか?)などと聞くのはこれと全く同じ考え方です。
・”others”について
“others”は「数ある中のどれでも適当な複数」という意味です。
例えばこの図の場合、”others”といえば残りの4つの丸のうち(明確な数は言及せず)「他の複数」(今回は便宜的に「他の複数」=3つという意味で3つの丸を水色にしました)という意味になるわけです。
上のドーナツの例で言えば、同じく箱に5つのドーナツが入っていて、1つを自分が取って明確な数は言及せず漠然と「他の複数」と言いたい場合”others”または”other doughnuts”などと言うわけです。
・”the other”について
“the other”は2つある中で基準となるものじゃない方、言い換えれば「2つのうちの別の方」という意味です。
上のドーナツの例で言えば、箱にはドーナツが2つしかなく、自分が1つ取って、2つのうちの別の方(残りの1つ)と言いたい場合
“the other one”または”the other doughnut”と言うわけです。
・the othersについて
“the others”は基準となるもの以外のすべて、言い換えれば「他のすべて」という意味です。
今回の場合は基準となる黄色い丸の他に4つの丸がありますから”the others”といえばその黄色の丸以外のすべての丸4つを意味するわけです。
上のドーナツの例で言えば”others”の場合とは違い、自分が1つ取って、「他の4つすべてのドーナツ」と言いたい場合、”the others”または”the other doughnuts”などと言うわけです。
そしてScriptの”the others expect her to explain”の部分もこれと全く同じ考え方で、基準となるレイチェルを除いた「他のみんな」という意味になっているため“the others”となっているわけです。
過去の記事において、冠詞の”a”は
「数ある中のどれか1つ」を意味し、
冠詞の”the”は
「数ある中の特定の1つに限定する」
「かならず話し手と聞き手(あるいは、著者と読者)との間に、theという言葉で具体的に何を指しているかの前提がある」
と述べました。
☞過去記事[該当箇所リンク]がこちらです↓ よろしければ併せてご確認ください!
・Friends Season1 Episode1-1 GRAMMARセクション「 ①冠詞の”the”(定冠詞)」の部分
・Friends Season1 Episode1-4 GRAMMARセクション「 ③”Can I tell you what the answer is”の”the”について」の部分
今回の”the others”/ “the other”/”others”/”another”の考え方においてもこれらの冠詞の役割(=意味)がとても重要です。
最初に共有させていただいた”another”は厳密には”an other”の意味で、数ある中のどれか1つを意味する冠詞の”a”が入っています。
“other”は「他のもの」を意味しますから、”an other”は「数ある他のものの中の”特に特定しない1つ”」を意味し、結果として”another”は上記した「数ある中のどれでも適当な他の1つ」という意味になるのです。
“others”がどうして上述した意味になるのかも考え方としては同じで、「他のもの」を意味する”other”が「1つを意味する冠詞の”a”」の付かない「複数形」になっており、また「何かを限定する冠詞の”the”」も付かずに使われているため、「”特に特定しない”数ある中のどれでも適当な複数」という意味になるわけです。
そして”the other”は一方、「他のもの」を意味する”other”に”the”がついていますので、その”the”のついた”other”は上で述べた
「数ある中の特定の1つに限定する」
「かならず話し手と聞き手(あるいは、著者と読者)との間に、theという言葉で具体的に何を指しているかの前提がある」
という条件を満たさなければなりません。
「他のもの」という意味で特定の1つに限定し、その限定したものが話し手と聞き手(あるいは、著者と読者)にわかる状況というと、上述したように「2つのものがあって、そのうちの1つ」という状況以外ありえないため、”the other”は「2つのうちの別の方」という意味になるわけです。
☞「他のもの」が複数あるこのような↑状況で”the other”と限定しても「どれを限定している(どれのことを言ってるか)かわからない」ため”the other”はこのように↓2つあるうちのもう1つという状況しか考えられない。
そして最後の”the others”はこの”the other”が「複数」になったバージョンで「数ある中の特定の1つに限定する」が「数ある中の特定の”複数”を限定」することになり、また”the other”の場合と同じように話し手と聞き手(あるいは、著者と読者)にわかる状況という条件を満たすことになるため、上述した例で言う箱の中の「他のすべて」という意味になり、Scriptの内容で言うと「レイチェルを除いた他のみんな」という意味になるわけです。
☞”the others”と言うことで限定する(基準となるもの(黄色い丸)以外の丸すべてのことだとわかる)ため”the others”は「他のすべて」という意味になる。
②”all the presents“の”the”について
この”all the presents”の”the”も上述した”the others”の考え方と同じです。
なぜ”all”に”the”がつくかというと上で述べた”the others”の例と同じように、たとえば部屋に12個のプレゼントがあり「all(=すべて)」と言った場合はその12個すべてのプレゼントを「限定(=特定の”複数”を限定)」することになるため”the”がつくというわけなのです。
“all the”と言うことで↑この場所にあるすべてのことを示しているとわかる
=特定の”複数”を限定
“the others”は”other”の意味からある基準の1つからみた「他のすべて」という意味ですが、”all the”はその場所にある「すべて」という意味になるわけで、その限定をするために”the”が必要というわけです。
③”I was looking at this gravy boat“の”this”について
“this”は「この」という意味が代表的かと思いますが、主に体験などを語る場面で冠詞の”a”と同じ意味として使われることがあり、今回の”this”はその意味です。
この用法では通常の”this”のように何かを示して「この」と言っているわけではないので注意が必要ですが、話し手の頭の中では具体的イメージがあるはずなので、「この」と捉えても問題ないと思います。
むしろ私はこう言った体験などを語る場面では単に”a”というより”this”と言った方が話し手がそのことを「鮮明に回想しているような臨場感が伝わる」のではないかと思います。
おそらくなぜ体験などを語る場面でこの”this”が使われるかというわけもこのことが理由なのではないかと思っています。
[追記] Scriptの”I was in this room where we were keeping all the presents”の”this”もこれと同じです。