SCRIPT
[Scene: Central Perk, Chandler, Joey, Phoebe, and Monica are there.]
[シーン: セントラルパーク、チャンドラー、ジョーイ、フィービーそしてモニカがいる]
Monica: There’s nothing to tell! It’s just some guy I work with.
モニカ: なにも話すことはないって! 同僚ってだけよ。
Joey: C’mon, you’re going out with the guy. There’s gotta be something wrong with him.
ジョーイ: モニカとデートに行くんだろ、その男どこかおかしいに決まってるよ。
Chandler: So does he have a hump? A hump and a hairpiece?
チャンドラー: そいつめちゃめちゃ猫背だろ? 猫背でカツラつけてる。(=禿げてる)
Phoebe: Wait, does he eat chalk?
フィービー: 待って、その人チョーク食べる?
(They all stare, bemused.)
みんな困惑して(フィビーを)見つめる)
Phoebe: Just, ‘cause, I don’t want her to go through what I went through with Carl- oh.
フィービー: いや、だって私がカールにされたことモニカに味わせたくないから。
Monica: Okay, everybody relax. This is not even a date. It’s just two people going out to dinner and- not having sex.
モニカ: 落ち着いて。これはデートでもないの、ただ二人の人がご飯を食べに行くだけーセックスなしでね。
Chandler: Sounds like a date to me.
チャンドラー: 俺にはデートに聞こえるけど。
VOCABULARY & PHRASES
・go out with
to have a romantic relationship with someone [LONGMAN英英辞典]
go out with (v): 誰かと恋愛に関する関係を持つこと
“romantic”の意味は日本語だと「ロマンチックな夜景」などとよく言うように「素敵な」のような意味合いが強いですが、英語の場合
“relating to feelings of love or a loving relationship”
=愛情や恋愛関係に関係すること
という意味があります。
上記した”go out with”の説明にある”romantic”はまさにこの意味で
“go out with”は「誰かと恋愛に関する関係を持つこと」という意味です。
そのためこのフレーズは
付き合う前のデートに行くという意味
または
They’ve been going out for 2 years now(彼らは付き合って2年目だ)のように「付き合っている」という状況を説明するのに使われます。
今回の場合は文脈的に前者、つまり「デートに行く」という意味と捉えられます。
しかし、もちろん単純に「(人)と出かける」という意味でも”go out with”は使われます。
withは使われていませんが、Script後半の”going out to dinner”の”going out”はまさに「出かける」という意味ですね。
(ただ、この単純に「出かける」の意味での”go out”は“go out with”した相手によっては上述した「付き合ってる」や「デートする」という意味に捉えられ、誤解されてしまう可能性もあるので注意が必要です。)
フレーズの意味は文脈で決まるので、あるフレーズに出くわし、暗記した意味では意味が通らなかった場合は、文脈を考える+そのフレーズを構成している単語そもそもの意味を考えてあげると解決することがあると思います。
go(=行く)out(=外に)のように。
そして「デートする」などの意味もそういった元々の意味から派生したものだということを頭の片隅に置いておくと単語やフレーズをより理解し易くなるのではないかと思います。
・hump / hʌ́np
[countable] a raised part on someone’s back that is caused by an unusually curved spine [LONGMAN英英辞典]
hump (n) [可算名詞]: 背骨が異常に曲がったためにできた背中の盛り上がった部分
“hump”は「こぶ」の意味です。
上の和訳では”めちゃめちゃ猫背”と書きましたが、パッと思いつくイメージだとディズニー映画ノートル・ダムの鐘の主人公カジモドのような人物がイメージされているのではないかなと思いました。
(ノートルダムの鐘は原作がありますが、映画は1996年公開のため、このフレンズが始まった1994年9月にはそこまで知られていなかったとは思いますが…)
この部分はフレンズを解説している他のサイト様でも様々な解釈があるようですが、私が英語で調べたところアメリカの方もこのような解釈をされているようです。
・hairpiece / héəɾpiːs
[countable] piece of false hair that you wear on your head to make your own hair look thicker [LONGMAN英英辞典]
hairpiece (n) [可算名詞]: 髪の毛を濃く見せるために頭につける偽モノの髪の毛
上記Script訳では「カツラ」と訳しましたが厳密に言うと”hairpiece”は髪の薄くなった部分に部分的にのせる偽の髪の毛です。
一方、カツラの意味として日本人により馴染みのあるであろう”wig”という英単語は”hairpiece”とは違い髪の毛全体をカバーするカツラです。
“hairpiece”の”piece”から→「部分的にカバーするモノ」ということがイメージできますね。
・chalk / cʃɔ́ːk
[uncountable] small sticks of a white or colored substance like soft rock, used for writing or drawing [LONGMAN英英辞典]
chalk (n) [不可算名詞]: 白または色のついた物質のことで、字を書いたり、絵を描くのに使うもの
このchalkは学校で先生が使うまさにあのチョークのことです。
しかし注意したい点が1つあります。
それは、英語のchalkは「不可算名詞」=数えられない名詞(数えるときは a stick of chalkなどと言う)であるということです。
不可算名詞(数えられない名詞)とは受験勉強などで「furnitureは不可算名詞だから数えるときは”a piece of furniture”と言いなさい!」みたいな感じで丸暗記的に覚えたのでは(覚えさせられた笑)のではないかと思います。
ただ不可算名詞には一応定義があり、それを知っていれば可算名詞なのか不可算名詞なのか”みなさんの感覚で”使い分けられるようになります。
その不可算名詞の定義とは
「形が決まっていない、またはわからない」です。
例えば上で述べた「furniture(家具)」は、机やソファなどを意味するので、感覚的に、数えられそうですが、実際これらは「家具」という”机もソファも含んだ” 総称(=概念)を意味する単語である為、furnitureという単語のみでは机なのかソファなのか、その「具体的な形」がわからない、つまり上記した「形が決まってないもの」に当てはまり、不可算名詞となるというわけです。
一方、「形のわからないもの」でまぎらわしいのが例えば experience (経験)という単語です。
experiencaは「可算名詞」として使われる場合、「不可算名詞」として使われる場合、両方がありますが、この場合もその experience (経験)が自分の具体的な記憶などと関係のない一般的な「概念」としての「経験」(=形のない、またはわからない)を意味するのであれば「不可算名詞」、「〇〇で働いていたことがある」などの具体的な1つの「経験」(形がわかる)を意味するのであれば「可算名詞」というふうに使い分けられるのです。
つまりそこには
「話者の意識」
が表れているため、辞書で「不可算名詞」となっている単語でも「可算名詞」として使われるということもありうるのです。
この「不可算名詞」「可算名詞」のより詳しいお話は マーク・ピーターセン氏・著 『続日本人の英語』(岩波新書)に載っております。この本はとてもわかりやすく「英語の感覚」が学べるのでとてもオススメです!ぜひ読んでみてください!
“chalk”という単語と発音が似ていてまぎらわしい単語に “choke”という単語がありますので以下に発音と意味を共有させていただきます。よろしければ併せてご活用ください。
・choke / tʃóuk
to be unable to breathe properly because something is in your throat or there is not enough air [LONGMAN英英辞典]
choke (v): 喉に何かが詰まっているか、十分な酸素がないためちゃんと呼吸ができなくなる
(=つまり(喉を)詰まらせるや窒息するという意味)
ex)I’m choking!
「喉がつまった!」
ex)I choked on food.
「食べ物を喉に詰まらせた」
・stare / stéər
to look at something or someone for a long time without moving your eyes, for example because you are surprised, angry, or bored [Cambridge Dictionary]
stare (v): ある人や物を目を動かさず(じいっと)見つめる、例えば、驚いたり、怒ったり、退屈なことが理由で
この単語は上のScriptにある「フィービーの発言に対して周りのフレンズたちが(反応に困って)フィービーを見つめる」という場面を説明した部分に出てきたものです。
映像ではフレンズたちがフィービーを見つめているのかいまいちわかりませんが、フィービーがチョークを食べる男と付き合っていたと知り、みんな驚きを隠せず無言でフィービーを見つめているというのは話の流れからよくわかると思います。
この意味の”stare”は自動詞なので、もし「”フィービー を” 見つめる」と目的語を入れて述べたい場合は、
”They all stare at Phoebe, bemused”
と”at”を用いて述べます。
Scriptに”at Phoebe”の部分が書かれていないのは、この文脈からしてみんなが”stare”しているのはフィービーしかいないとわかるためです。このように英語では文脈からして明らかな内容の場合省略が行われることがけっこう多いです。
・bemused / bɪmjúːzd
slightly confused [LONGMAN英英辞典]
bemused (adj): 少し困惑した
・go through
to experience a difficult or unpleasant situation, feeling etc [LONGMAN英英辞典]
go through (v): 困難だったり、嬉しくない気持ちや状況を経験する
“go through”は文脈によって様々な意味を表しますが、今回の場合は
「〜を経験する」
という意味です。
そしてこの意味での”go through”はニュアンスとして「あまり望ましくないことを経験する」という意味があります。
今回の場合も「モニカに同じことを味わせたくない」と言っているようにフィービーが”go through”したことは「望ましくない」ことだったのが窺えますね。
・sound / sáund
if a noise sounds like a particular thing, that is how it seems to you when you hear it [LONGMAN英英辞典]
sound (v): (音などが)〜に聞こえる
”sound~”という表現は「〜と聞こえる」というところから、見聞きしたことに対して「〜のように聞こえる」と推量を述べたいときに使える便利な表現です。
ex) I know this is gonna sound really stupid, but I feel if I can do my own laundry, there isn’t anything I can’t do.
「これすごくバカげて聞こえるだろうけど、もし自分で洗濯ができたら、私、できないことは他に何もないと思う」
この例文と同じく、今回のチャンドラーの場合も、モニカの喋った内容が「デートの内容のように聞こえる」=「それってデートってことだろ?」という意味を述べていますが、ここの場合、話の流れから、”That’s a date”(それデートだろ)と直接的に言うのではなく敢えて”sounds~”と推量的(遠回し)に言うことで、チャンドラーが皮肉を込めて言っている様子が感じられると思います。
ちなみにここで使われている動詞の”sound”は簡単に言うと(詳しく知りたい方がいらっしゃれば後日詳しい内容を共有させていただきます。)自動詞なので、目的語の位置に「名詞」を置きたい場合は「前置詞」をつけなければいけません。
そしてこの”sound”の持っている意味にぴったり合う「前置詞」がこの場合、前置詞の”like”であるため”sounds like a date to me”となるわけです。
前置詞の使い分けは難しいですが、今まで丸暗記していたフレーズなどの前置詞の意味を調べてみると「その動詞と前置詞の関係性」やそこに「共通している規則性」などが見えてきて、より柔軟に前置詞を使えるようになると思います。
GRAMMAR
このセクションではその記事で扱ったScriptの中で、多くの人が難しいと感じるであろう部分(文法・冠詞・単数/複数形などの内容)をピックアップし「どうして?」「なぜ?」に当たる部分の解決ができるよう情報を共有しています。
今回は
①冠詞の”the”(=定冠詞)
②修飾
についてです。
※かなり詳しくお話しさせていただきましたので長くなってしまいました。既にご存知の方は飛ばして頂いても大丈夫だと思います。
“the”や”a”といった冠詞の概念は日本語にない概念の為、理解し、使い分けるのがなかなか難しいと思います。
しかし”the”や”a”は場合によっては細かいニュアンスを含み、意思疎通の上でとても大切な役割をする概念でもあります。そして何よりそれらを理解できればより「英語の感覚」が身につき、その発言をした人の心情などまでもそれらの冠詞1つでわかってくるので、勉強すると英語がもっともっと面白くなります。
しかし、どう勉強しましょう?
こればっかりはやはりたくさんの英語に触れることだと思います。様々なネイティブの英文に触れ、その度に「そこでのその冠詞の役割・意味」を考える。そのストックを増やしていく。その繰り返しが大切だと思います。
その為、当サイトではなるべくセリフの中の冠詞の役割・意味を解説し、皆さんと共有させていただければと思っております。
それでは今回の文章を見ていきましょう!
と、言いましたがもう1つだけお伝えしたいことがあるのでお話しさせてください!(スミマセン)
私は冠詞の”the”(=定冠詞)を勉強したとき1つのことを意識してだいぶ頭が柔軟になり、少しずつ”the”の感覚がわかるようになりました。
その1つのこととは
“the”には多くの意味がある。
ということです。このセクションの最初で「冠詞を学習するには様々な英文に触れるべき」と述べたのもこの事が理由で、1つ1つの”the”の意味を理解すればそれぞれに含まれる”the”の感覚が少しづつわかるようになり、結果として”the”を自由自在に使えるようになると述べたかったのです。
異なる意味の”the”と聞くと「全部覚えるのはたいへんそう」と思うかもしれませんが、どの意味の”the”にも共通している前提が1つあり、それを軸に考えていけば1つ1つの”the”の意味もすんなり見えてくると思います。
その前提とは『続日本人の英語』(岩波新書)マーク・ピーターセン氏の言葉を借りると
定冠詞があれば、かならず話し手と聞き手(あるいは、著者と読者)との間に、theという言葉で具体的に何を指しているか、またそれによってtheにつく名詞の意味が具体的にどういうふうに限定されるか、という大切な「前提がはっきりしているはず」
(『続日本人の英語』(岩波新書)マーク・ピーターセン・著)
です。
具体例がなくこの前提だけだとイマイチよくわからないとも思うかもしれませんが、ご安心ください!そのために当サイトではできる限りScript内の”the”の使い方を具体例として解説していきます!そしてその際、この前提を軸にご説明しますので、ぜひこの前提を頭に置いておいて頂ければと思います。この前提を軸に当サイトの”the”の用法を見ていけば”the”の感覚を徐々に掴めるはずです!
長くなってしまいすみません!それでは本題に入りましょう!
・”C’mon, you’re going out with the guy.“
ここでの”the guy”に用いられている”the”の意味はまさに今、上記した『続日本人の英語』(岩波新書)マーク・ピーターセン 引用部分の意味です。上文では「前提」と述べてきましたが、この『続日本人の英語』(岩波新書)マーク・ピーターセン 引用部分の内容は「”the”の最も基本となる意味」でもあります。そのためこの例文と同じ用法の”the”はたくさん使われます。具体的に見ていきましょう!
この文の”the guy”はモニカの述べた”some guy”と同じ人物を指しています。そしてここにおいて”a guy”ではなく “the guy”となる理由はまさに「話し手と聞き手との間に、theという言葉で具体的に何を指しているかがはっきりしている」、言い換えれば、「ジョーイが話題としている”guy”がモニカの話題としている”some guy”と同じ人物ですよ」ということを示すために”the”が使われているということです。
このように自分が話題としている人や物が、相手の考えている人や物と「同じものである」、または「同じものと思われる」(=特定する)場合に”the”を用いる、これが冠詞の”the”の最も基本となる用法(=意味)であり、マークピーターセン氏が述べる“the”の前提となる考え方なのです。
そしてこの考えから冠詞の”a”も考えてみると冠詞の”a”の意味も見えてくるのではないでしょうか。
今回のScriptには”a hairpiece”や”a hump”,”a date”などの形で冠詞の”a”が出てきましたが、これらが”the”ではなく”a”とされるのは、”the”の場合とは逆で、話し手と聞き手の間で具体的に何を指しているか決まってないものであるからです。
言い換えれば、ここで話題にしている”a hairpiece” “a hump” “a date”は世界中にたくさんある”hairpieces” “humps” “dates”の中の「不特定の1つ」を意味しているため冠詞の”a”が使われているということなのです。
ここからは修飾(単語や文全体などに詳しい説明をつけること)についてお話しします。
このお話をしようと思ったのは今回のScriptに”They all stare, bemused.”というト書きがあったためです。この文章は厳密に言うとみなさんお馴染みだと思います(笑)分詞構文というやつなのですが、その説明はさらに長くなってしまうので(笑)また今度にさせて頂き、今回はもっと基本的な「修飾のルール」をご紹介したいと思います。実際、そのルールがわかればこの文章の意味も簡単にとれると思います。
それでは見ていきましょう!
まず「修飾」ですが、これは”a nice camera”(素敵なカメラ)や”road closed”(通行止め)などcameraがどんなものか(この場合:nice) roadがどんな状況か(この場合:closed=通行止め)というように文の中のそれぞれの要素(ここでは名詞)に詳しい説明をつけるという意味です。そしてこの説明の仕方にルールがあり、それが先ほど述べた「修飾のルール」になります。
ではその「説明の仕方(=修飾のルール)」とはなんでしょう?
実はここで注目していただきたいのは、上記例の”nice”や”closed”といった「修飾語の位置」です。
つまり「修飾のルール」とは
①修飾する要素を「限定する」(たくさんある中から特定する)場合、修飾語をその要素の「前」に置く
②修飾する要素を「説明する」場合、修飾語をその要素の「後ろ」に置く
ということなのです。
上記例で言うと、cameraが、「壊れたcamera」や「新品のcamera」などいろいろある中から「niceなcamera」であると限定されているためniceはcameraの「前」に置かれ、roadは「閉ざされたroad」ではなく「閉ざされているroad」という意味(=説明)になるためclosedがroadの「後ろ」に置かれているのです
☞ではこの「修飾のルール」を使って先ほどの例文をもう一度見てみましょう。
“They all stare, bemused.”
見ておわかりのように”they all stare”の後ろに”bemused”があり、”they all stare”(みんな見つめた)という状況を説明しています。
つまりこの文章は”bemused”(困惑して)が①の限定ではなく②の説明の意味として”they all stare”を修飾しているとわかるわけです。
とてもシンプルなことですがこの「修飾のルール」1つだけでも英文やセリフの意味をとりやすくなるのではないかと思います。
1回目の記事でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございます!かなり情報量の多いものになってしまいましたが、情報はたくさんある中から選んでいただくのが良いかと考えておりますので、これからもできる限りの情報を共有させていただければなと思っております。
もしご意見、ご感想などございましたらぜひお知らせ頂きたいです。よろしくお願い致します!